h22.8.14 砂走りで下山 (タイトルでネタばれ?)
前日へ
くっそ〜、眠れない。
あれ、なんだか、もよおしてきた・・・え〜い、仕方ない!トイレだ。
枕、いや無いので頭の傍に置いたヘッデンを手に寝袋を出た。金森さん、sanpoさんを起こさないように・・・
これからが大変なのだ。何しろ通路にもぎっしり、人が寝ているのだ。ヘッデンの灯りを人に向けない様に、もちろん踏まない様に、慎重に一歩一歩踏み場を探して進んだ。ある意味、3点支持で岩場を少しずつよじ登るのに似ていた。
ようやく、ドアに辿りついた。あれ、開かない・・・
あ、開いた。うわ、何だ!人だ!!
どうやら部屋に入りきらなかった人が、玄関のベンチに横たわっていたのだ。満員の為、彼らが泊まれなくてそこに居たのか、それとも単に風を避けてここに居座ったのか分らないが、狭いスペースに5,6人は居た。
とりあえず、目の前の便器へ!これが良くしたもので、洋式便座でタオル地の便座カバーが付けられているタイプだ。
さてと・・・
おしっこは出たが、実が・・・(食事中の方・ゴメンなさい!)
目の前に大きく書かれた紙があった。何々、
『ペーパーは備え付けのものを使ってください・それ以外のモノを流すと詰まる可能性があります。詰まると直すのが大変です。』
『トイレや小屋への感想などはノートにお書き下さい。ただし、当小屋はペンションや民宿では無く、富士山の山小屋としての営業をしております』
後半部分が一番読んで欲しいのだろうな。昨日も書いたが、ここのトイレは予想以上に綺麗で嬉しいのだが、これを維持するための苦労は相当なものだろう。
さて・・・
出な〜い!
この膨満感はあっても出ない感じ、わかりますか?平たく言えば便Pなんだろうが、これが時々おこるのだ。ああ
これ以上仕方ない。
個室を出た。外は何だかスゴク多くの人が居るようだ。うわ〜スゴイなあ。
「寝ちゃだめよ〜、寝たら低体温症で・・・」
なんだ〜、どこかのグループで、元気なオバちゃんがいるのかな。
まあ、イイ。まだ約束の1時まで時間がある。寝られないだろうが、横になろう。
また、一歩一歩慎重に足の置き場を捜しながら、元の位置へ。部屋の中はやけに温かく、もう寝袋はイイや。
眠れない。
あれ、なんだか、もよおしてきた・・・え〜い、仕方ない!トイレだ。
上の繰り返し
あれ、12:57だ!ヤバい!!!
今度は急いで戻りたかったが、無理! さすがに慌てて誰かを踏みつけることはしない。
遠くでアラームが!
枕元でも聞こえるように音量は5段階の1にしておいたが、この状況だと、それでも聞こえた。バイブだけでは不安だったので、そういう設定にしてしまったんだよね。
隣に居たsanpoさんが小声で「のぞむさん、アラーム鳴っていたわよ」
「うわ〜、ゴメンなさ〜い」
幸い他の宿泊客から怒られなかったし、金森さんはびくともしなかったので、安心した。
N「1時になっちゃいましたけど、どうします?」
S「そうね。さっき外に出た時は曇っていたわ」
sanpoさんが外に出たことは覚えていないので、その時は寝ていたのかな?
N「どうしましょう。金森さんは起きる様子ありませんね。」
・・・
とりあえず、人でギッシリの通路では無く、反対側の食堂に出てみた。
ガランとした食堂では、お兄ちゃんが一人。どうやら、外の客から注文を受け、ドリンクやカップ麺、そしてバナナなどを売っていた。
サンダルを履き、外へ。
びゅ〜〜〜〜(相変わらず幼稚な擬音で・・・)
うわ、スゴイ風!
しかも見上げる空は曇りがち、なんだこりゃ!
それにしても、スゴイ人。ヘッデンを点けて歩く人、ベンチで休む人・・・・
風も強く、これ以上この格好(半袖+やや厚手のラガーシャツ)では無理だ。
食堂に戻った。
そっと寝床に戻り、sanpoさんに状況を報告。
もう少し様子を見ることにした。
アラーム、いやバイブを2時にセットして、横になってみた。
眠れない。
そういえばハラが減ったので、奥の棚に置いたアルミバッグを取り出し、朝食?をとることにした。
再び食堂に行き、先程のお兄ちゃんに尋ねた。
N「ここで食事をしてもイイですか。」
「あ〜ちょっとならイイけどなあ。この後、ここは使うんや。長いことはダメな〜」
N「あ、わかりました。じゃあちょっとだけ」
オニギリを取り出してみたが、さすがにまだ1時過ぎ。一気に食べられない。急ぐはずだが、噛んでもなかなか呑みこめなかった。
この頃sanpoさんも出てきた。二人でどうするのかを相談していると
「あのなあ。この後、ここは使うんや。長いことおったら困るんや」
仕方なく、二人で寝床へ戻ることにした。
S「あそこ(食堂)に居られるのが気に入らないみたいね」
N「そうですね。ここのやり方なんだろうから、仕方ないですけどね。でも、どうしましょう。ザックの整理がまだ出来ていないんですよ。」
・・・
N「金森さんを起こして、もう外へ出ましょう。朝ごはんを食べて、それで行けそうなら行きましょう。」
小声で読んでも起きなかった金森さんを揺すって起こし、ザックの中にモノを詰め込み、レインウエアの上着を着て、山靴を履き、外へ。
びゅ〜〜〜〜
びゅ〜〜〜〜
うわっちゃ〜、何だこりゃ。たまらず頂上でご来光を待つ際に着るつもりだったダウンジャケット(袋に詰め込むとコンパクトになる。)を着こんだ。大分マシになった。
相変わらず外はスゴイ人だったが、どうにかテーブルを確保できた。いや、私が確保したのではなく、先輩がやってくださったのだ。年下なのに使えね〜
sanpoさんは、ポットのお湯で、カフェオレを作ってくるとのこと。しかも紙コップまで用意してくれている。至れり尽くせりだし、ホントに有難い。
K「あ、オレはガスを持ってきているんで沸かしますよ。」
金森さんはあのゴツイデジイチだけじゃなく、コッフェルも持ってきていたのか〜、スゴイなあ。」先輩二人に比べ、自分のことしか考えていない私が恥ずかしかった。
金森さんがペットボトルの水をコッフェルに移し、火をつけようとした頃、
「あ〜、アカンアカン。火はダメや!」さっきのお兄ちゃんだ。
仕方なく、コッフェルに注いだ水をペットボトルに戻す金森さん。
Y「小屋の外で使ってくれって所はあるけど、外でもダメっていうのは初めてだよ。」
N「そうですね〜、強風だからでしょうけどね。」
金森さんはカップ麺を諦め、オニギリの朝(?)ご飯になった。私は2個目のパン。相変わらず食欲はなかったが、この後歩くにはとにかくエネルギーを補給しないといけない。あ、そっか!ゼリードリンクなら流しこめる!
お湯を注ぐ前は紙コップが飛ばない様に押さえておかないと、吹き飛ばされそうな強風が続いていた。
sanpoさんのポットは保温性能が強く、昨日入れたお湯なのに、一日経ってもまだ、そこそこの温かさで、カフェオレを美味しく頂いた。
「寝ちゃだめよ〜、寝たら低体温症で・・・」
あ、アノ声は・・・なるほど、ここの小屋のオバちゃんか。そういえば、この小屋の周りには疲労(または高山病)で、動けなくなっている人が多い。なるほど、小屋の宿泊客だけでなく、ここを通過する人たちにも声をかけ、元気づけているのか。
・・・
さっきのお兄ちゃんの態度は・・・だったが、この小屋の良いところを見つけた気がする。
相変わらずの強風に加え、昨晩は見えていた上の小屋やヘッデンの灯りもガスの中だ。
結局ヘッデンを点けて上を目指しても御来光は無理だろう。もし、見えるなら小屋の前からでも同じだと相談し、再び寝床に戻ることにした。
3人のザックをベンチの奥の石垣に置いて戻ろうとしたところ、このオバちゃんに指摘された。
「あ〜、置いていったらダメ、ストックだってちょっと目を話したら持って行かれちゃう。ここは他の山と違うんだよ!」
なるほど、ザックのデポもダメなのか・・・色んな意味で恐るべし富士!
これが2:50頃のこと?
日の出の時刻4:50(誰かが話していたのを聞いた)を目安にして、4:20にバイブをセットし、とにかく横になった。
ZZZ・・・不思議だが、このほんのわずかの時間はちゃんと眠れた気がする。
でも、バイブは今度も要らなかった。
「○○さ〜ん、朝食で〜す」
今度は朝食か。やれやれ、昨晩のお姉ちゃんも大変だな。
ダウンを着て、食堂側から外に出てみた。そういえば先程よりは風はややマシになった気がする。
4:17 まずはセルフタイマーを2秒にして、手持ちで小屋の上方を狙ってみた。 画像中央に見えるのが、上の小屋の灯りだろう。 日の出まであと20分位なので、こんな撮り方でも写るようになってきた。 そういえば、上の灯りが撮れたのだから、この時間帯はガスがあまり無かったようだ。 |
麓の灯りが見える | |
ズームで・・・ さすがに難しいか ポケット三脚は寝床に置いてきた。失敗したな〜 |
N「せっかくだから、この狭〜い寝床も撮りましょう。」 これで様子がわかるだろうか。勿論フラッシュで撮ったので、こんなに明るくは無かった。(右隣は起きていた。) |
5:02 雲間から山中湖が見えた。 |
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5:05 もう昇っているのだろう |
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5:10 |
5:21 出発 | |
ロープが張られている。意外に傾斜がキツイ。しかも、足元は火山灰でもろく、結構歩きにくい。 |
5:38 金森さんが見るのは・・・ |
お〜、イイ感じ! もう大陽館があんなに小さいのか。 |
5:58 本7号目・見晴館 |
S「のぞむさん、スパッツの履き方が変よ。このバンドは、ほら、こっちを通すのではなく、靴底の方を通すのよ。」 N「え〜、そうだったんですか〜。買って2年経つのに、今まで気付きませんでした〜」 S「さっき、のぞむさんの後ろから歩いていて、なんだか変だなって思ったのよ。」 |
S「のぞむさんなら、こういうときはどうする?」 N「さすがに今日登るのは自信ないです。」 S「そうよね。さっき、金森さんとも話していたんだけど、こんな日に無理に登ったって仕方ないって。 どうせ登るなら、お鉢めぐりの出来る日の方がイイですねって。」 N「賛成です。」 |
降りる前に、ここまで来たという証拠をそれぞれのカメラで撮ることにした。金森さんのゴツイデジイチで、私とsanpoさんの2ショットも撮影してくれた。今回も私は全員で写りたく、まだ元気そうな人を見つけ、撮ってもらった。 この画像のように『標高3200m』は私にとっての最高所。そして、sanpoさん、金森さんも北岳の3193mを少し更新したことになっていたが、前日5合目にあった案内看板にも出ているようにここは『標高3100m』のはず。昨日も書いたが、どうしてこういう訳のわからないミエをはるのだろうか。 |
6:27 小屋奥にある『下山道』の表示に従い、下山開始。 画像左に写るのが先程の100円のトイレ 相変わらずのガスガスで先が良く見えない。 |
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6:40 登山道と合流。まだ頑張って登ってくる人が後を絶たない。彼らはこの強風とガスガスの中、どうするのだろうか。 |
6:42 あっという間に大陽館へ戻ってきた。 |
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山中湖にかかる雲の動きがスゴイ |
太陽館から先がホントの砂走りだ。 |
足元を撮ってみた。う〜ん、これは海岸みたいだ。 なんてのんびり歩いていたら、背後から気配が・・・ |
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走るぅ走るぅ〜(music・あ、昨日も貼ったか。) いやいや、ホントに砂走りだ。若いな〜。ズバフォーの私には真似できない。 ランナーは若い男が十人弱居たように思うが、中には彼を追いかけて走る女の子もいた。 sanpoさんが言っていたように、ここは観光地気分で来る若者が多かったのではないだろうか。 |
こっちは眺めを楽しみながらのんびり降りよう。 たしか、この辺でもう5合目のバス停が見えた気がする。ホントに気持ちのよい道だった。 |
金森さんが眺めていた風景はこんな感じ。 雲の動きがスゴイ! |
二人の後ろ姿を撮影しながらのんびり降りる ・・・ え、バレました。これ以上早く降りられないんです。 |
7:20 S「ここは少し風が弱いわ。休憩にしましょう。」 金森さん曰く『ドラえもんのポケット』のようなsanpoさんのザックからはお菓子が出てきて、ここでもご馳走になった。いやいやホントに貰ってばっかりだ。 |
7:32 一休みしてから数十m下でどうやら樹林帯に入れそう。ここで休んでいる人も多かった。 金森さんに倣い、私もレインウェアを脱いだ。 |
上を振り返るとこの通り。 やはり降りてきて正解だった。 |
7:48 んん、小屋まで200mか |
戻ると金森さんとsanpoさんがスパッツを脱いでいた。 N「いや〜、トイレに行っていました。」 Y「え、またぁ?大変だったね〜」 |
ここには5合目まであと2km。30分の表示があった。あと少しだ。 8:04 5合目へ向けてGO! |
振り返ると 傘雲 これじゃ〜上では何も見えないぞ。 |
降りてきた砂走りをズーム! スゴイ傾斜にスゴイ多くの人達。 彼らは頂上まで頑張ったのか、それとも私たちのように途中で引き返したのか。 |
よ〜し、間に合った。 ここには受付の人は居なかったが、気合で200円を料金箱に入れた。 ここも水洗&バイオトイレで清潔。 そう、富士山はドッポンは100円だが、水洗、バイオトイレは200円ということで、取り決めがあるのだろう。多分。もう臭くて鼻が曲がりそう。というイメージは古いものだと分かった。 それだけのことを知るのに、今朝からトイレだけで500円。高くついたな〜 |
のぞむさ〜ん、こっちこっち〜 |
見事な傘雲・・・ Y「天気の崩れる予兆だよね。」 |
9:12 9:20発の御殿場行きが到着。私たちはバスを待つ列の10人目位だっただろうか、幸い3人とも最後尾の座席を確保出来た。そんなとき、 「再見!謝謝!」(思いつく中国語がこれしかない。) おいおい、バスの中だぞ。携帯はダメじゃないか〜・・・注意出来なかったけど。昨日も書いたが、何故彼らはあんなにテンションが高いのだろう。 |
ラッキーなことに駅の真ん前が薬局だった。 そう、便Pといえばビ○フェ○ミン! 外観もそうだが、店内は何だか、昭和に戻ったような作り。自分で探す余裕はなく、オバちゃんにビ○フェ○ミンを探してもらった。『食後』の表示を無視して、水を貰いとりあえず飲んでみた。これで、風呂に入れば大丈夫だろう!? |
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N「ところで、この薬局は随分前からやっているんじゃないですか?」 「そうですね〜、祖父の頃からなので、百年くらいかしら」 N「是非撮らせて下さい。」 |
N「ほら〜、あそこにイイ感じの酒屋がありますよ」 と、ナイスな提案をしたつもりだったが、 N「え、もうビールを買っちゃったんですか〜」 レポを書きながら、思い出すとここでやけにハイテンションだったことがちょっぴり恥ずかしい。便Pだったのにね。 |
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店内に入ると・・・ 「お〜い、女将さん、お客さんだよ〜〜」 N「え、」 奥から女将さんが出てきた。 N「あ、そうか。ご主人じゃなくて、お客さんだったのですね。」 「どわっはっは、こんな昼間っから酒飲んでちゃ〜商売になんね〜さ」・・・そりゃそ〜だ! N「是非撮らせて下さい。このレトロな感じ、イイですね〜」 「お、イイよ。撮ってくれぃ」 |
N「駅の目の前にあるのに一度改札を出て、階段を上って下りないと着かないんですよ〜」と二人を案内。 午前中だったので、さすがにすいており、ノンビリ昨日今日の疲れを癒すことが出来た。 |
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N「乾杯の前に食うかいさんとダマさんからの差し入れも撮りましょう!」 今回の山行を振り返り、楽しい時間を過ごした。ただし、ここは2時間で600円の料金設定なので、ちょっと慌ただしかったかも |