h20.2.11 雪の丹沢からの生還 
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 ガタガタ

 うるさいなー、あれ5:20か。中々寝付けないと思っていたが、結局寝ることが出来たらしい。

 5,6人がヘッデンを点けながら荷造りと布団を片付けている。アラーム(バイブ)が鳴る前だが、これだけ音がすれば目が覚めるよね。そういえば昨年11月介山荘でも土間の音で5時に目が覚めたんだよね。もっともかずさんや同部屋の人達はまだ寝ていたけど。
 
 結局5:30には蛍光灯も点いて全員が起きた。

 私も布団に入る前に殆ど準備をしておいたので、ここからは早いのだ。さっとズボン下を履き、ダウンを内側に着込んで、ホカロンをジャージのポケットに入れ、フル装備で1階へ。

 土間↓では、5,6人がお湯を沸かし、朝食中。多分私が目覚めた頃にはスタンバイしていたのだろう。やはり山の朝は早い!

8時頃撮影
 とりあえず外のトイレへ。そりゃ〜出すものを出さないとね。え、小です。この時は。

 小屋に戻ると、「あら、写真を撮りに行くの?じゃあ朝食を6:30からの回にする?」とおかみさんに声をかけられた。前夜6:00の朝食時間を告げられた時に「丁度空の色が変わる頃に食事じゃなあ、大急ぎで食べるか」と考えていたので、有難かった。「お願いします!」
 
 よーし、これなら朝食前に身体を温めておこう。私もコッフェルを出してお湯を沸かそうとすると、既に朝食が終わっていたた名古屋のTさんから「俺のを使ったらどうだい?」と声をかけていただいた。

 ご厚意に甘え、昨日の残りのペットボトルの水を沸かし始めたとき、

 バチャ

 水がこぼれてしまった。

 「あ〜大丈夫、大丈夫」とTさんはさっと外に出てをコッフェルにどっさり入れた。

 少し時間はかかったが、バッチリお湯が沸いた。なるほど、冬山ではこういう手もあるのか!

 このお湯で乾燥のお粥(シラス入り)で身体を温めた。

 出発前に新宿のコージツで買ったものだとTさんに話すと「山道具屋よりディスカウントストアで買う方が安いよ。防災用品コーナーにあるんだ」とのこと。山歴の長い人は色々なことを知っているなあ。

 Tさんにお礼を言い、小屋から1分のポイントへ。

 勿論寒いのだが風が無いので、体感気温は昨年11月の親不知の頭よりずっと楽に感じた。

 予想に反して?カメラをスタンバイしている人は居ない。でもこの時間から待っていないと空の色が青くなる時間帯を撮れないんだよね。

 6:34の日の出はこのように樹林の中。でもこの方角はイイ色になっていたんだよね。樹林を避けるポイントを探す時間もなかったしなあ。


 そして、富士はご覧の通り。結局期待していた焼けは無し。紅富士と右奥の南アルプス、そして手前の木々に着いた雪が赤くなる様子を期待したのだが外れ。このとおり眺めはクリアーだったのだが、残念!
ポジでの出来はどおかな・・・

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6:16 6:44 6:45

のんびり記念撮影をしているのは私の他3,4人だけ。Tさんも含め殆どの人は早々に出発した。
まあ、イイか。私はこれから朝食だ。6:40頃おかみさんが「冷めちゃうけどとっておくわよ」を声をかけに来てくれたしね。

さすがに7時過ぎの食堂では私の分が一つだけ。炊き込みご飯は冷めてしまったが、味噌汁は温め直してくれた。これで十分です。ご迷惑をおかけしました!
ミネラルウオーターのペットボトル500ml(300円)を2本買い、その1本でお湯を沸かした。(画像は
先程味噌汁をお代わりしていたので、今はお腹いっぱい。そう、カフェオレ(粉末ね)を作り、ポットに入れておくのだ。これは歩くときに欠かせないしね。
そして、出すものを出さないと安心して歩けないしね!

最後に出発するグループを尻目にのんびり小屋のトイレへ。
ここのトイレはすごくキレイな上に便座が温かいのだ
これはポイント高いよ。

え、何時までもぐずぐずしてるんじゃねえよって!誰かの声が聞こえてきそうだけど。一応私なりに考えての事なのだ。それは

@後から出発した方がトレースが出来て歩き易い。ラッセルはキツイのだ。

A上記トイレは小屋内には一つしかない。勿論小屋の外にもあるが、ここでのんびり用を足したかった。

以上!!
8:05
ホントに遅い出発なのだが、望の富士山らしいでしょ!いや〜我ながらエセ山男だなあ。
@先ずは下る。Aおお、富士が見える!よっしゃ〜
B次は登る。この辺りはまあ楽だった。
8:20 急坂下り どうやら階段なのだが雪に埋もれている。

1歩1歩気をつけながら進む。

その後一旦平地になるが
8:27 急坂下り





またまた下るのか!
こりゃー蛭ヶ岳から戻るなんて嫌だ!頑張って焼山に行くぞ〜
この時は思っていた。
@今度は階段を登る Aさらに登る。トレースは付いているが、それでも歩きにくい。アイゼンを履いていても沈んでしまい、中々進まないのだ。先を歩いた人達は大変だったろうな。
B雪の芸術だよね。
8:49 休憩所




ここでザックを下ろし、ポットのカフェオレで一息。チョコをかじる。エアリアを見ると「え、まだこれしか進んでないの!」ずいぶん頑張った気がするのになあ。まあ、頑張るか!!
このようにトレースはあるが、やはり歩きにくい道を進む。
反対側からストック2本の若者が2人、グイグイ進んできた。ヘトヘトになっているこちらを見て?道を譲ってくれた。彼らは蛭ヶ岳から来たのかな。
9:03 おお、デカイ看板が見えるぞ!!

@何々不動の峰か。
後で調べたがココは1614m、丹沢で2番目の高さだそうだ。
A富士も見えた。よっしゃ〜
3分程下ると後、ドカーンと展望の開けた平地に着いた。ここから先はまたまた急坂の下りだな。
その時、ストック2本でスノーシューを履いたソロの方が登ってきた。(これ以降Fさんと表記)汗ビッショリだ。

「蛭ヶ岳まであとどれくらいですか」

「そうだな、あと2時間はかかるんじゃないかな。この先は雪が深いからね。スノーシューでも大変だったよ。」

げげー!

「俺は蛭ヶ岳山荘に泊まったんだ。昨日はトレースが全然無くて大変だった。さっき2人組に出会ったろう。彼らと交代でラッセルしないと進めなかった。俺一人じゃどうしようも無かったな。」

ぞぞー!

さっき7,8人のグループと出会ったよ。彼らは焼山へ抜けるって話していたけど、この先はもっと雪深くなるから禿殻避難小屋位までしかたどり着かないんじゃないかな。明日は雪が降るって予報だから無理しないで引き返した方が良いと思うんだけどな。

もうこの話しで決まった。これから下って登って蛭ヶ岳にたどり着いても、この道を戻ってこないと行けないのだ。塔ノ岳に戻るのが夕方になったら、大倉にも帰れない。(後で調べたがこの先は階段の急坂が待っていた)

蛭ヶ岳に行くのは諦めた!

そう、レポのタイトルは「蛭ヶ岳敗退」にしよう。ビビリな位で丁度良いのだ
(結局違うタイトルにしたけど、これを掲げてしまうとネタバレだからね)

先に行くFさんにお礼を言って三脚をセット

そう、ココは眺めが良いし、風紋もキレイだ。望の富士山なのだから富士の撮影にこだわろう。

サムネイルをクリックすると大きくなります ポジの出来はどうかな。
富士の左は愛鷹連峰 富士の右には南アルプス 蛭ヶ岳山荘も見えていたけどね
9:15 丹沢山に戻ろう
先程降りてきた道を戻る。目指すは丹沢山だ。遠いよ・・・
←9:43 先を行くFさんが小さく見える。
このアングルだと丹沢山への急坂が分かるでしょ。

@9:54 A10:08 最後の登り(ここは楽)
丹沢山山頂ではFさんがスノーシューを外しており、別の登山者と談笑中。

こちらはみやま山荘に戻り、ご主人とおかみさんに
結局途中で引き返しました〜」と報告。
心配をかけちゃったかもしれないからね。ちゃんと生還したことを伝えておかないとね。
「また雪のない季節にお世話になります!」とは心の声。

再びFさんと話し、みやま山荘の食事が美味しかったことなども伝えた。
「そうか、蛭ヶ岳山荘はレトルトのカレーだったんだよね。みやま山荘はどんなだった?」
へへ、それはホームページを見てください
望の富士山の名刺を渡した

Fさんに、引き返すことをアドバイスしてくれたお礼を言い、先に出発。
10:24 まずは下る。
富士の眺めが良いところで一眼も出して撮影。
そうさ、これこそ望の富士山なんだ!
この付近では塔ノ岳方面から歩いて来る人達と会うようになった。彼らは尊仏山荘に泊まったのだろうか。それとも下から?
こちらは何回も足を止め、富士の撮影に夢中!。ゆっくりでもいいのさ!
going my way!!
10:46 この付近の樹林帯は歩いているだけでも楽しかった。

この斜面からもgood
 
11:02 竜ヶ馬場
←ここからの眺めも良かったが、立ち寄らず通過。

木道
11:10 あれが塔ヶ岳か? いやいやまだまだ・・・

ここは小ピークなんだよね。
昨日通ったばかりだしそれくらい覚えているよ。
11:29 日高
ココを越えたら塔ノ岳への最後の登りが待っている。

これがホントにキツイんだよね・・・
11:55 塔ノ岳山頂再び
昨日も撮ったけどお約束!
鍋割山で鍋焼きうどんもちょっと頭をよぎったが、この展望が一番のおかずだ。ここでカップ麺タイムとしよう。
@今朝Tさんに習った方法で(まだペットボトルにも500mlあったが、後で使おうと思ったのだ。)
Aこの画像は名刺にも使えそうだ。これだけで望の富士山を表現しているでしょ。
B一瞬影がよぎった!見上げるとコレ!キモチイイだろうなあ。

腹ごしらえをしたら、勿論一眼でも撮影。無理せず戻ってきたからこそ、こうやって楽しむことが出来るのだ!

昨日よりも空の色がクリアーだ。
南〜西〜北へ時計回りにぐるりと撮影。 サムネイルをクリックすると大きくなります
左に箱根、右奥に愛鷹 左下は鍋割山 遠くに南アルプス
中央に檜洞丸 左は蛭ヶ岳、右は不動の峰

12:54 下山開始
登ってくる人と大勢すれ違った。そりゃそうだ。今日は最高の登山日和だよね!
13:09 金冷し
金冷しを左折すれば大倉尾根だが、ここは直進
そうだよ、時間に余裕があるのだから、変化を付けなきゃね。
昨年12月に通った鍋割山稜を途中まで歩いてみようと思ったわけだ。小さなアップダウンのあるイイ感じの道なんだよね。
13:38 二俣分岐

前回はここを直進して鍋焼きうどん(あ、鍋割山ね)を目指したが、今日はもう昼飯を済ませている。出発前はここから登ってみようと考えていたコースをチェックしてみようと思ったわけだ。
@分岐を左折すると、いきなり相模湾が目の前に!
A光線は良くないが富士もこの通り。
ジグザグの急坂を下る。
まあ午前中に比べれば大したことはない。

ここからも富士が見える。やはり光線は良くないが・・・
雪が溶けて地肌が見えるところも多くなってきた。

4人(ソロ2人、夫婦1組)に抜かれ、登ってきた5人と出会った。大倉尾根は大混雑だろうがここは静かな山歩きが出来る。
ところで先程の分岐の後、道標が一つもないのだ。道は明瞭で、先行した彼らの足跡がはっきりしているのだが、コレで良いのだろうか???
14:28 最初の道標・何が書いてあるかな?
近付くと・・・
え、これだけ!?ずいぶんアバウトだなあ。大倉尾根や鍋割山稜にはしつこい位に道標があるのにねえ。まあこのまま進むか・・・
14:34 今度こそ乾いた道

ここでは先程私を追い抜いていった夫婦が休憩中。
まだ先に雪があるかなと3分程歩いたが、どうやら大丈夫。 ストックを使い、アイゼンに付いたを落とした。雪道で処理すれば良かったんだけどね。ほんの3分が手間を増やしてしまったかな。アイゼンの袋にどうにか押し込み、ビニール袋で二重にしてザックにしまった。
チョコとポットのカフェオレで一休み。
さて、後どれくらいかかるのかな?エアリアを見てもさっぱりわからなかった。
げげ、どうやって通るの?
結局この木をまたごうとしても、下をくぐろうとしても駄目だった。
画像には写っていない右側の斜面を遠回りして通過。
@14:54 下ってきた斜面を見上げる Aこの辺は平地
Bたまーに、リボンが結んである。
15:08 小丸まで2000mの表示
@ジグザグに付けられた道をひたすら下る。
Aやっとまともな道標だ!
15:19 車が見えた
あそこが二俣だな。

@メジャールートに合流。 Aそこにあった道標
15:23 二俣
ここで夫婦は休憩中。
「このルートは全然道標がありませんでしたね。」と私
「そういえば、そうですね。雨山峠のルートも全然ありませんよ。」
この夫婦は結構歩いているらしい。
丹沢もメジャールートをちょっと外れると静かな山歩きが出来るのだろう。
後で調べたがsanaeさんご夫婦も今年の1.5に、このコースから鍋割山に登っていたようだ。やはり通好みのコースなのかな。また、雨山峠からのコースはsanpoさんが歩いている。
うーん丹沢は奥が深い。
前回も休んだココで最後の一休み。
取っておいたペットボトル500mlを使い、ドリップコーヒーを1杯分作り、残りをポットに入れたのだ。どお、計画通りでしょ。
そして、最後のお楽しみに取っておいたクリームパンをパクリ!まいう〜
15:58 出発
コーヒータイムを楽しんでいる頃、3、4グループが通り過ぎたが慌てることはない。後は林道を4km程歩くだけなのだ。
前回は大倉バス停直前にすっかり暗くなってしまったが、今回は安心。なにしろ昨日の夕陽の時間が17時半頃だと覚えていたからね。

荒川強啓・デイキャッチを聴きながらの〜んびり歩いた。
17:03 大倉バス停
既に渋沢行きのバスが待っていた。
直ぐに時刻表を見ると発車は17:08。大倉でトイレ休憩と思っていたが、これ幸いと乗車。ラッキーなことに席もまだ空いていた。発車直前に大勢乗ってきてたちまち満員になったのだ。トイレに寄っていたら座れなかったなあ。

ずーっと携帯は圏外だったのでオフラインにしていたが、それを解除。「生還しました」メールをあちこちに発信。
渋沢駅に着くとダッシュでトイレへ。用を済ませて顔を洗い、鏡を見ると・・・

なんと、雪焼けしている上に目が充血している!
念の為に2日間とも、朝歩き出す前に日焼け止めクリームを塗っておいたのだが、汗で流れてしまったか。いやいやそれだけ雪の照り返しが強かったってことだね。充血については予想していなかった。次回からはゴーグルも必要なのかな。これも経験なんだろうね。

自宅には19:30に到着。お疲れ!


昨年11月にかずさんに連れて行って貰った初の小屋泊まりから2回目にしてソロで雪山と一気にハードルを高くした。正直、出発前は期待90%の一方で不安も10%あった。10日夜も不安が増して眠れなかったのかも知れない。でも、ビビリなお陰で早めに引き返したことが吉と出て望の富士山らしいレポをこうして作ることが出来たのだ。

え、タイトルの「生還」は大袈裟だって。そりゃまあ、でも続き読みたくなるでしょ。(自画自賛か!)

かずさん、金森さん、食うかいさん、心配をおかけした皆様に感謝すると共に、
次の山行もビビリな私でいようと思ったのだ。

雪のない季節に蛭ヶ岳丹沢主脈縦走には再チャレンジだ!

そして、今回の様に雪深い山に行くならスノーシューもいいかな。いやいや分相応を考えろって!!

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丹沢山 朝
不動の峰から
丹沢山から塔ノ岳への道から
塔ノ岳から
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